2021年度活動報告
2022年7月11日
● 事業の成果
日本点字普及協会は、視覚障害者及び一般市民に対して点字の普及・啓発活動を行うために2013年度から活動を開始しました。2021年度は、新型コロナウィルスの収束の見通しが立たないため、各種事業の実施に当たって状況を見極めながら行うこととしていましたが、「日本郵便年賀寄付金」から新たに配分を受けた「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」は、その内容を大幅に変更して実施せざるを得ませんでした。また、関係団体との連携で行う「点字考案200年記念事業第1回記念講演会&シンポジウム」はオンラインを併用したハイブリッド方式での開催、新宿NPO協働推進センターが行う「NPOセンターまつり」は、オンラインによる開催となりました。
このような中、2021年度は、霊友会「ありがとう こだま基金」、日本盲人福祉委員会福祉助成金(2022年度実施事業)からの助成金を受け、新たな点字普及活動にも着手できることとなりました。
そのほか、2017年度に開発した凸面点字器「トツテンくん」の普及を全国各地で会員が行いました。なお、凸面点字器の販売を行う(有)読書工房によると、2022年3月31日までに累計7,105台の販売実績があったとのことです。(2021年度は748台販売)
また、ホームページを維持して広く点字に関する情報提供を行ったことにより、一般の方々、学校関係者、マスコミ、点字サイン製作業者からの問い合わせを受けるようになり、それぞれに対応して点字の普及に努めました。
2021年度末の会員の状況は、次のとおり。
個人正会員 38、団体正会員 5、個人賛助会員 9、団体賛助会員 2
会員は、1都1道2府17県に在住しています。
● 事業内容
1.視覚障害者への点字の普及に関する事業
① 中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会の開催
新型コロナウィルス感染拡大の影響により実施日を2度延期し、第5回研修会を実施。第6回の実施予定をYouTube配信に変更しました。
第5回 2022年3月18日(金)~19日(土)
東京都 新宿NPO協働推進センター
YouTube配信による個別研修:第5回研修会を録画・編集(委託先・読書工房)し、申込者に事前にテキストを送付して、YouTube配信により、個別に第5回研修会を聴講する方式を採りました。
② 凸面点字器普及事業
2017年度に完成した凸面点字器の普及を図り、中途視覚障害者が点字を学習する際の負担を軽減するとともに、小学生が短時間で点字の読み書きを体験し、商品や街中の点字サインを正確に読めるようにするため、加えて視覚障害者への正しい理解とサポートの方法を伝える取り組みを各地で行いました。さらに、トツテンくんを海外に広めるため、国際視覚障害者援護協会を通じて留学生として来日している各国の視覚障害者(10人)にトツテンくんを寄贈しました。また、株式会社電通の社内プロジェクト(アップサイクル事業)の名刺用点字器の制作に協力しました。同プロジェクトメンバーへの点字レクチャーを実施しました。
③ Lサイズ点字普及事業
点字を触読できる視覚障害者を増やすため、引き続きLサイズ点字の普及を図るとともに、Lサイズ点字プリントサービス(実費徴収)を団体正会員の「にじの会」協力のもとに実施しました。その結果、4団体と3人の個人からの依頼を受け28件5,003枚のプリントサービスを行うことができました。特に、「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」修了者、および講師である原田良實氏著作の「点字触読独習教材」テキストの印刷依頼があり、この事業が広がりをみせています。なお、丸紅基金へのLサイズ点字プリンター助成申請は今回も不採択となりました。
④ 中途視覚障害者向け資料「点字の書き方」の作成に着手しました。
2.一般社会への点字の普及・啓発に関する事業
① 一般向け点字学習啓発事業
親や教師が、子どもと楽しみながら気軽に点字を学ぶことができる点字学習用啓発資料「点字の世界へようこそ」をホームページ上で公開しています。これによって、凸面点字器による点字学習が広がり、点字学習のハードルが下がることが実証されました。また、霊友会「ありがとう こだま基金」の助成により、凸面点字器30台とプロジェクターを購入しました。これを受け、当協会が所有する凸面点字器を会員に貸し出す「凸面点字器貸出事業」を開始し、会員が全国各地で行う点字普及事業の一層の充実を図りました。
② ホームページによる点字普及事業
インターネットを通して点字の普及を図るため、ホームページの運営を引き続き行いました。ホームページあるいは電話によって問い合わせが寄せられるケースは、中途視覚障害者の家族からの点字学習に関するもの、点字サイン業者、一般企業、学校からのものなど、多岐にわたっています。
③ イベントによる点字普及事業
a.点字考案200年記念事業第1回「記念講演会&シンポジウム」
ルイ・ブライユが点字を考案してから、2025年で200年を迎えます。2025年に向けて、本会を含め、点字に携わる6団体が「点字考案200年記念事業推進委員会」を立ち上げ今年度から継続的に各種事業を展開していきます。第1回は、「記念講演会&シンポジウム」として韓国の点字法に学びながら、これからの点字への期待について議論を深めました。
b.新宿NPO協働推進センター「NPOセンターまつり」
「NPOまつり 2021@新宿」としてオンラインで開催されました。本会はB部門「コロナ禍を生き抜く活動ここにあり」に参加し、ホームページの内容を紹介しました。
④ 点字サインの点検
全国各地で表示されている点字サインが適切であるかを機会あるごとに点検しました。
⑤ 全会員による全国各地での点字普及活動
全会員が全国各地で機会あるごとに点字普及のための活動を行いました。