視覚障害者及び一般社会への点字の普及をめざす「特定非営利活動法人日本点字普及協会」

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活動報告

2023年度活動報告

● 事業の成果
日本点字普及協会は、視覚障害者及び一般市民に対して点字の普及・啓発活動を行うために2013年度から活動を開始しました。2023年度は、設立10周年となりました。その振り返りとして、「点字普及活動経過年表(10年の歩み)」を作成し、会員に配布するとともに、ホームページ上に公開することとしました。
ここ数年、コロナ禍によって十分な活動ができませんでしたが、2023年度は再開したサイトワールドへの参加をはじめとし、種々の点字の普及・啓発活動に取り組みました。
サイトワールドでは、「今日(11月1日)は、日本点字133歳の誕生日」と題して日本点字制定133年を記念した講演会を実施するとともに、関係団体との連携により「点字考案200年記念事業第3回記念講演会&シンポジウム」を行いました。
第8回「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」を10月に東京で実施しました。
また、2023年度も、霊友会「ありがとうこだま基金」の助成や、日本盲人福祉委員会福祉助成金で作成した資料により、点字普及活動をさらに進めることができました。
そのほか、2017年度に開発した凸面点字器「トツテンくん」の普及を全国各地で会員が行いました。なお、凸面点字器の販売を行う(有)読書工房によると、2024年3月31日までに累計8,867台の販売実績があったとのことです。(2023年度は1,022台販売)
また、ホームページを維持し、広く点字に関する情報提供を行いました。
2023年度末の会員の状況は、次のとおり。
個人正会員 32、団体正会員 5、個人賛助会員 6、団体賛助会員 2

● 事業内容
A.視覚障害者への点字の普及に関する事業
(1) 中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会の開催
実施に当たっては、霊友会「ありがとうこだま基金」の助成も受けました。
・内容
第8回
期日:2023年10月21日(土)・22日(日)
会場:東京都新宿区 新宿リサイクル活動センター 2階B会議室
受講者 12人(修了証授与 12人、修了証授与 累計 111人)
・講師:原田良實氏

(2) 凸面点字器普及事業
2017年度に完成した凸面点字器の普及を図る活動を行いました。凸面点字器は、中途視覚障害者が点字を学習する際の負担を軽減し、また、晴眼者も短時間で点字の読み書きを体験できます。凸面点字器を用いた点字体験によって、商品や街中の点字サインに気づいて、それを正確に読めるようになり、視覚障害者への正しい理解やサポートへとつながって行くことが期待できます。さらに、トツテンくんを海外に広めるために、国際視覚障害者援護協会を通じて留学生として来日している各国の視覚障害者にトツテンくんを10台寄贈しました。

(3) Lサイズ点字普及事業
点字を触読できる視覚障害者を増やすため、引き続きLサイズ点字の普及を図るとともに、Lサイズ点字プリントサービス(実費徴収)を団体正会員の「にじの会」協力のもとに実施しました。その結果、点訳グループ、個人、企業、県の機関などからの依頼を受け、36件11,146枚(累計236件、44,797枚)のプリントサービスを行うことができました。特に、「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」修了者、および講師である原田良實氏著作の「点字触読独習教材」テキストの印刷依頼があり、この事業が広がりをみせています。

(4) 中途視覚障害者向け資料「点字の書き方」の内容について、引き続き検討を行いました。

B.一般社会への点字の普及・啓発に関する事業
(1)一般向け点字学習用啓発資料普及事業
親や教師が、子どもと楽しみながら気軽に点字を学ぶことができる点字学習用啓発資料「点字の世界へようこそ」をホームページ上で公開しています。これによって、凸面点字器による点字学習が広がり、点字学習のハードルが下がることが実証されました。この啓発資料を活かすため、日本盲人福祉委員会からの助成により、希望者に点字一覧表・啓発資料を郵送で配布しました。また、当協会が所有する凸面点字器を会員に貸し出す「凸面点字器貸出事業」を行い、会員が全国各地で行う点字普及事業の一層の充実を図りました。
a.日本盲人福祉委員会からの助成により、希望者に点字一覧表・啓発資料を郵送で配布(個人には1部、施設・団体には2部)
件数(会員を含む)73件(累計248件)
個人 51人(累計178人)  団体 22団体(累計71団体)
配布部数 95部(累計322部)  点字資料配布部数 15部(累計63部)
b.2022年度霊友会「ありがとう こだま基金」の助成により作成した、学校向 け点字普及・啓発用ポスターを希望者に配布した。5部
c.会員向け凸面点字器貸出事業(4件、千葉県)

(2)ホームページによる点字普及事業
インターネットを通して点字の普及を図るため、ホームページの運営を引き続き行いました。ホームページあるいは電話によって問い合わせが寄せられるケースは、街中の点字表示に関すること、一般企業から社内の点字表示についてなど多岐にわたっています。
ホームページのバージョンアップ並びにhttps://への対応を行いました。

(3)イベントによる点字普及事業
a.サイトワールド会場において「今日(11月1日)は、日本点字133歳の誕生日」と題して日本点字制定133年を記念した講演会を実施しました。
日時:2023年11月1日(水)13時30分~15時30分
会場:すみだ産業会館 9階 会議室1・2(「サイトワールド2023」会場)
講演会:
講演1 「日本の点字133年、その歴史と表記の変遷」
講師 金子昭氏(日本点字委員会副会長)
講演2 「統一英語点字(UEB)について」
講師 白井康晴氏(東京点字出版所)
b.点字考案200年記念事業の関係団体と共同で講演会を実施しました。
日時:2023年11月3日(金)13時30分~15時30分
会場:サイトワールド会場(9階会議室1・2)
テーマ:「日本における視覚障害児童・生徒及び中途視覚障害者に対する点字指導のあり方」
第1部 講演会「アメリカ開催の“Getting In Touch With Literacy”の事前発表会」
発表者:渡辺哲也氏(新潟大学教授)・南谷和範氏(大学入試センター教授)・奥野真里氏(全国視覚障害児童・生徒用教科書点訳連絡会事務局長)
第2部 講演会「日本における中途失明者、児童・生徒に対する点字指導のあり方を考える」
報告者:牟田口辰己氏(「点字学習指導の手引き」編集委員会主査)・渡邊寛子氏(福島県立視覚支援学校教諭)

(4)点字サインの点検
全国各地で表示されている点字サインが適切であるかを機会あるごとに点検しました。

(5)全会員による全国各地での点字普及活動
全会員が全国各地で機会あるごとに点字普及のための活動を行いました。

                   2023年度貸借対照表