2022年度活動報告
2023年6月20日
● 事業の成果
日本点字普及協会は、視覚障害者及び一般市民に対して点字の普及・啓発活動を行うために2013年度から活動を開始しました。2022年度も前年に引き続き新型コロナウィルスの収束の見通しが立たないため、各種事業の実施に当たっては感染拡大状況など見極めながら、十分に配慮して行いました。
「日本郵便年賀寄付金」から2年目の配分を受けた「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」を10月と12月に実施しました。また、関係団体との連携で行う「点字考案200年記念事業第2回記念講演会&シンポジウム」はオンラインを併用したハイブリッド方式での開催、新宿NPO協働推進センターが行う「NPOセンターまつり」も、オンラインでの参加になりました。
このような中、2022年度も、霊友会「ありがとうこだま基金」、日本盲人福祉委員会福祉助成金からの助成金を受け、点字普及活動をさらに進めることができました。
そのほか、2017年度に開発した凸面点字器「トツテンくん」の普及を全国各地で会員が行いました。なお、凸面点字器の販売を行う(有)読書工房によると、2023年3月31日までに累計7,845台の販売実績があったとのことです。(2022年度は737台販売)
また、ホームページを維持し、広く点字に関する情報提供を行いました。
2022年度末の会員の状況は、次のとおり。
個人正会員 34、団体正会員 5、個人賛助会員 9、団体賛助会員 2
● 事業内容
A.視覚障害者への点字の普及に関する事業
(1) 中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会の開催
「2022年度日本郵便年賀寄付金配分事業」の助成をいただき実施しました。
第6回
期日:2022年10月27日(木)・28日(金)
会場:岐阜県 岐阜アソシア 視覚障害者生活情報センターぎふ
協力:岐阜アソシア 視覚障害者生活情報センターぎふ
受講者 9人(修了証授与 9人、修了証授与 累計 91人)
第7回
期日:2022年12月15日(木)・16日(金)
会場:堺市総合福祉会館 第2会議室
協力:堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター
受講者 8人(修了証授与 8人、累計授与者 99人)
・講師: 原田良實氏
(2) 凸面点字器普及事業
2017年度に完成した凸面点字器の普及を図る活動を行いました。凸面点字器は、中途視覚障害者が点字を学習する際の負担を軽減し、また、晴眼者も短時間で点字の読み書きを体験できます。凸面点字器を用いた点字体験によって、商品や街中の点字サインに気づいて、それを正確に読めるようになり、視覚障害者への正しい理解やサポートへとつながって行くことが期待できます。さらに、トツテンくんを海外に広めるために、国際視覚障害者援護協会を通じて留学生として来日している各国の視覚障害者にトツテンくんを寄贈しました。また、電通グループの名刺用点字器開発・活用プロジェクトに協力しました。
a.国際視覚障害者援護協会を通じて、留学生に凸面点字器10台を寄贈
b.開発に関わった、株式会社電通グループの「名刺用凸面点字器ten・ten」の 活用について、「で、おわらせないPROJECT」に協力
①ZOOMによる点字講習会
日時:2022年5月27日(金) 10:00~11:30 5月30日(月) 13:00~14:30
参加者:電通ジャパンネットワーク12社の社員 101人
②9月9日 点字講習会動画撮影:ZOOMによる点字講習会内容を動画にまとめ、電通社内や関連会社に向けて、各地で普及を図るため
(3) Lサイズ点字普及事業
点字を触読できる視覚障害者を増やすため、引き続きLサイズ点字の普及を図るとともに、Lサイズ点字プリントサービス(実費徴収)を団体正会員の「にじの会」協力のもとに実施しました。その結果、点訳グループ、個人、企業、県の機関などからの依頼を受け、32件10,469枚のプリントサービスを行うことができました。特に、「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」修了者、および講師である原田良實氏著作の「点字触読独習教材」テキストの印刷依頼があり、この事業が広がりをみせています。なお、丸紅基金へのLサイズ点字プリンター助成申請は今回も不採択となりました。
(4) 中途視覚障害者向け資料「点字の書き方」の内容について、引き続き検討を行いました。
B.一般社会への点字の普及・啓発に関する事業
(1)一般向け点字学習用啓発資料普及事業
親や教師が、子どもと楽しみながら気軽に点字を学ぶことができる点字学習用啓発資料「点字の世界へようこそ」をホームページ上で公開しています。これによって、凸面点字器による点字学習が広がり、点字学習のハードルが下がることが実証されました。この啓発資料を活かすため、霊友会「ありがとうこだま基金」並びに、日本盲人福祉委員会の福祉助成金の助成により、啓発資料・点字一覧表の配布、学校用ポスターの配布事業を実施しました。また、当協会が所有する凸面点字器を会員に貸し出す「凸面点字器貸出事業」を行い、会員が全国各地で行う点字普及事業の一層の充実を図りました。
a.日本盲人福祉委員会からの助成により、希望者に点字一覧表・啓発資料を郵送で配布(個人には1部、施設・団体には2部)
件数(会員を含む)175件 個人 126人 団体 49団体
配布部数 227部 点字資料配布部数 48部
b.霊友会「ありがとう こだま基金」の助成により、学校向け点字普及・啓発用ポスターを作成・寄贈して、児童・生徒の視覚障害者に対する理解や点字のさらなる普及を図ることを目的に事業を実施
「全国学校図書館協議会(SLA)」を通じ、「としょかん通信」(学校図書館が主対象)の1月号に2500部同封。残部500も今後活用する。
c.会員向け凸面点字器貸出事業(2件、神奈川県・東京都)
(2)ホームページによる点字普及事業
インターネットを通して点字の普及を図るため、ホームページの運営を引き続き行いました。ホームページあるいは電話によって問い合わせが寄せられるケースは、街中の点字表示に関すること、一般企業から社内の点字表示について、講習会講師依頼など、多岐にわたっています。
(3)イベントによる点字普及事業
a.第2回点字考案200年記念事業「記念講演会&シンポジウム」の実施
日時:2022年12月10日(土)10:00~15:00(受付:9:30~)
会場:YouTube配信及び日視センター会場によるハイブリッド方式
プログラム
記念講演 「米国における点字制作の新たな潮流 -デジタル時代の点字-」
フレドリック・K・シュローダー博士(前WBU会長)
シンポジウム「日本が創り出した点字メディア -さらなる発展をめざして-」
※ 講演前日のwelcome partyに参加し、凸面点字器、Lサイズ点字を講師のシュローダー氏に寄贈
b.「サイトワールド」中止、「NPOセンターまつり新宿」(オンライン、活動紹介を登録)
(4)点字サインの点検
全国各地で表示されている点字サインが適切であるかを機会あるごとに点検しました。
(5)全会員による全国各地での点字普及活動
全会員が全国各地で機会あるごとに点字普及のための活動を行いました。