視覚障害者及び一般社会への点字の普及をめざす「特定非営利活動法人日本点字普及協会」

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活動報告

2019年度活動報告

● 事業の成果
視覚障害者及び一般市民に対して点字の普及・啓発活動を行うために2013年度から活動を開始した当協会は、2019年度は特に新しい取り組みを行わず、これまで行ってきた各事業のさらなる充実に努めました。2018年度から年に2箇所で開催している「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」を札幌市と北九州市で開催し、この活動の全国への広がりを図りました。また、昨年度末に完成した点字啓発テキスト「点字の世界へようこそ」をホームページ上で公開し、広く利用を勧めました。運営面では、協会の新しいリーフレットを作成して広く配布したほか、ホームページのバージョンアップ、コピー機をリース(2019年8月から)で導入し事務の強化を図りました。
そのほか、2017年度に開発した凸面点字器「トツテンくん」の普及を全国各地で会員が行いました。なお、凸面点字器の販売を行う(有)読書工房によると、2020年3月31日までに累計5,349台の販売実績があったとのことです。(2019年度は1,113台販売)
恒例となった、日本の点字制定記念日の11月1日に開催する「サイトワールド2019」会場での点字に関する講演会を引き続き行いました。
また、ホームページを維持して広く点字に関する情報提供を行ったことにより、一般の方々、学校関係者、マスコミ、点字サイン製作業者からの問い合わせを受けるようになり、それぞれに対応してよりよい点字の普及に努めるなど、大きな成果を挙げることができました。
2019年度末の会員の状況は、次のとおり。
個人正会員 39、団体正会員 6、個人賛助会員 9、団体賛助会員 1
会員は、1都1道2府19県に広がっています。
● 事業内容
1.視覚障害者への点字の普及に関する事業
① 中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会の開催
凸面点字器完成を機に、Lサイズ点字と凸面点字器を活用して、中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会を2箇所で開催し、中途視覚障害者への点字の普及を図りました。なお、2会場とも協力団体として関わってくださり、会場費を免除していただきました。
第3回:2019年5月25日(土)~26日(日)
札幌市視聴覚障がい者情報センター
受講者23人、修了者15人
第4回:2019年11月30日(土)~12月1日(日)
北九州市立点字図書館
受講者18人、修了者17人
講師  原田良實氏(当協会会員)

② 凸面点字器普及事業
2017年度に完成した凸面点字器の普及を図り、中途視覚障害者が点字を学習する際の負担を軽減するとともに、小学生が短時間で点字の読み書きを体験し、商品や街中の点字サインを正確に読めるようにするため、加えて視覚障害者への正しい理解とサポートの方法を伝える取り組みを全国各地で行いました。

③ Lサイズ点字普及事業
点字を触読できる視覚障害者を増やすため、引き続きLサイズ点字の普及を図るとともに、Lサイズ点字プリントサービス(実費徴収)を、団体正会員の「にじの会」協力のもとに実施しました。その結果、3団体と5人の個人からの依頼を受け、3,564枚(7,128ページ)のプリントサービスを行うことができました。特に、「中途視覚障害者に対する点字学習指導法研修会」修了者からの依頼があり、この事業が僅かずつ広がりをみせています。
なお、丸紅基金へのLサイズ点字プリンター助成申請は今回も不採択となりました。
2.一般社会への点字の普及・啓発に関する事業
① 一般向け点字学習用啓発資料作成事業
親や教師が、子どもと楽しみながら気軽に点字を学ぶことができる点字学習用啓発資料「点字の世界へようこそ」をホームページ上で公開しました。これによって、凸面点字器による点字学習が広がり、点字学習のハードルが下がることが期待できます。
② ホームページによる点字普及事業
インターネットを通して点字の普及を図るため、ホームページの運営を引き続き行いました。2019年度はホームページのバージョンアップを図ったほか、会員専用ページにアクセスしやすくなるように改修を行いました。ホームページあるいは電話によって問い合わせが寄せられるケースは、小学校での点字体験依頼、中途視覚障害者の家族から点字学習に関する問い合わせ、点字サイン業者からの問い合わせなど、件数も少しずつ増えています。
③ イベントによる点字普及事業
11月1日(金)の日本点字制定記念日に、点字に関する講演会「11月1日 今日は、日本点字129歳の誕生日」と題したイベントを「サイトワールド2019」の会場で行い、引き続き点字の普及・啓発を図りました。なお、例年参加する新宿NPO協働推進センターが行う「NPOセンターまつり」は、札幌での研修会と開催日が接近していたため、今回は参加を見合わせました。
④ 点字サインの点検
全国各地で表示されている点字サインが適切であるかを機会あるごとに点検しました。なお、2019年度は不具合の発見はありませんでした。
⑤ 全会員による全国各地での点字普及活動
全会員が全国各地で機会あるごとに点字普及のための活動を行いました。特に、横浜生協から依頼を受け、登録ヘルパー50人を対象に、視覚障害者への理解、点字体験を行いました。